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QNAP NASにTailscaleをインストールして外出先からアクセスできるようにする

QNAP TS-431PというNASをRAID 1構成で運用しており、2TBのディスクを4台使用しています。今回、Tailscaleを導入することで、外出先のスマートフォンやPCから安全にNASへアクセスできる環境を構築しました。

QNAP TS-431Pについて

使用しているNASは以下のモデルです。

https://www.qnap.com/ja-jp/product/ts-431p

ARM CPUを搭載した4ベイNASで、自宅のファイルサーバーとして活用しています。

QNAP(キューナップ) TS-431P3 2.5GbE対応ポートとクアッドコア1.7GHz CPU 4GBメモリ 4ベイ ホーム&SOHO向け スナップショット機能対応 NAS 2年保証

QNAP(キューナップ) TS-431P3 2.5GbE対応...

AnnapurnaLabs Alpine AL-314 1.7GHz クアッドコアと4GBメモリを搭載。

価格:¥130,483

Tailscaleとは

Tailscaleは、WireGuardをベースとしたVPNソリューションで、複雑なネットワーク設定なしに、異なるネットワーク上のデバイス同士を安全に接続できるサービスです。従来のVPNと比べて設定が簡単で、NAT越えも自動で処理してくれるため、自宅のNASへのリモートアクセスに最適です。

パッケージのダウンロード

まず、QNAP用のTailscaleパッケージをダウンロードします。

GitHubのリリースページから、使用しているNASのアーキテクチャに合ったパッケージを選択します。

https://github.com/tailscale/tailscale-qpkg/releases/tag/v1.58.2

アーキテクチャの確認

TS-431PのCPUはARM Cortex-A15なので、ARM用パッケージを選択します。

[matsu@ts431p Tailscale]$ cat /proc/cpuinfo
processor       : 0
model name      : Annapurna Labs Alpine AL212 Dual-core ARM Cortex-A15 CPU @ 1.70GHz
Speed           : 1.7GHz
Features        : half thumb fastmult vfp edsp neon vfpv3 tls vfpv4 idiva idivt vfpd32 lpae evtstrm
CPU implementer : 0x41
CPU architecture: 7
CPU variant     : 0x2
CPU part        : 0xc0f
CPU revision    : 4

processor       : 1
model name      : Annapurna Labs Alpine AL212 Dual-core ARM Cortex-A15 CPU @ 1.70GHz
Speed           : 1.7GHz
Features        : half thumb fastmult vfp edsp neon vfpv3 tls vfpv4 idiva idivt vfpd32 lpae evtstrm
CPU implementer : 0x41
CPU architecture: 7
CPU variant     : 0x2
CPU part        : 0xc0f
CPU revision    : 4

Hardware        : Annapurna Labs Alpine
Revision        : 0000
Serial          : 0000000000000000

上記の情報から、以下のパッケージをダウンロードします。

Tailscale_1.58.2-1_arm-x41.qpkg

インストール手順

1. パッケージのアップロード

ダウンロードしたパッケージを、QNAP管理画面(QTS)の「App Center」からアップロードしてインストールします。

Tailscaleパッケージのインストール画面

「手動インストール」を選択し、ダウンロードしたqpkgファイルを指定してインストールを実行します。

Tailscaleの起動

問題: 管理画面から起動できない

インストール後、QNAP管理画面上にTailscaleアプリが表示されますが、起動しようとすると「Internal Server Error」が発生して起動できない問題に遭遇しました。

解決方法: SSH経由での起動

この問題は、tailscaledデーモンが起動していないことが原因です。SSH経由でNASにログインし、手動で起動する必要があります。

[matsu@ts431p Tailscale]$ cd /share/CACHEDEV1_DATA/.qpkg/Tailscale
[matsu@ts431p Tailscale]$ ls
Tailscale.sh* state/        tailscale*    tailscaled*   ui/

[matsu@ts431p Tailscale]$ ./Tailscale.sh start
ln: /home/httpd/cgi-bin/qpkg/Tailscale/ui: Permission denied

[matsu@ts431p Tailscale]$ sudo ./Tailscale.sh start

[matsu@ts431p Tailscale]$ ps | grep tailscaled
30731 admin     28156 S   /share/CACHEDEV1_DATA/.qpkg/Tailscale/tailscaled --port 41641 --statedir=/share/CACHEDEV1_DATA/.qpkg/Tailscale/state --socket=/tmp/tailscale/tailscaled.sock
30975 matsu       388 S   grep tailscaled

sudo権限で起動スクリプトを実行すると、tailscaledが正常に起動します。

Tailscaleへの認証

認証手続き

tailscaledが起動すると、QNAP管理画面のTailscaleアプリに「Reauthenticate」ボタンが表示されるようになります。

Reauthenticateボタンが表示された画面

このボタンをクリックすると、Tailscaleの認証ページにリダイレクトされます。

Tailscale認証画面

TailscaleアカウントでログインしてNASを承認すると、Tailscaleネットワークに参加できます。

設定完了

認証が完了すると、QNAPアプリ上で以下のような画面が表示されます。

Tailscale接続完了画面

これで設定は完了です。TailscaleがインストールされているスマートフォンやPCから、NASに割り当てられたTailscale IPアドレス(100.x.x.x形式)でアクセスできるようになります。

まとめ

QNAP NASへのTailscaleインストールは、管理画面からの起動に問題があるものの、SSH経由で手動起動することで解決できました。一度設定してしまえば、外出先からも安全にNASへアクセスできる環境が整います。

ポイント

  • QNAP用のTailscaleパッケージは、NASのアーキテクチャに合ったものを選択
  • 初回起動時はSSH経由でsudo ./Tailscale.sh startを実行する必要がある
  • 認証後はTailscaleネットワーク経由で外部から安全にアクセス可能

Tailscaleを使うことで、ポート転送やDDNSの設定なしに、セキュアなリモートアクセス環境を簡単に構築できるため、自宅NASの利便性が大きく向上しました。

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Yuki Matsukura

Yuki Matsukura

2003年からブログを書き続けるWeb系エンジニア。 コードだけでなく、家電やガジェットの修理、改造、応用の過程を記録している。 評論より実践、完成品より失敗も含めたプロセスこそが価値だと信じて、手を動かし続ける日々。

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